<研究論文>コンピュータ・ネットワーク社会の展開 : 組織構造は変わるか
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概要
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組織構造とは,企業内部における権限と役割の体系を指す。そこでは,誰が何をなすべきかが決められる。現代日本の企業社会の組織構造はハイアラーキ構造になっており,上司と部下の上下関係は厳しい。日本では,会議というのは,上司が決めたことを追認する儀式(セレモニー)になっており,上司に真っ向から反論することは珍しい。組織のハイアラーキ構造が,人間行動を強く制約する。こうした企業風土あるいは組織文化の中でコンピュータ・ネットワークが導入される。コンピュータ・ネットワークは,従来の「縦」の情報の流れに加えて,ネットワークに参加する人たちに所属部署を超えて「横」に情報の流れを流す。既成のハイアラーキ組織をフラットな組織に転換しうる可能性を生み出す。ハイアラーキ組織構造は情報化により改編される。現代の組織構造は情報技術によって改革されるだろう。バブル崩壊後の現在の経済不況は,日本の産業体制に深刻な打撃を与えており,各企業は従来の業務の見直しを迫られている。工場現場の人員削減には技術進歩により成功したが,間接部門の人べらしはまだ手つかずである。ホワイトカラーの業務改革が今後の課題である。仕事のやり方の見直しを情報化投資がどの程度サポートできるかが問われている。従来のハイアラーキ構造は,業務再構築の過程で大きく変化する可能性を持つであろう。各部署がフラットな構造に転換するであろうが,経営者を頂点とするハイアラーキ構造がその情報の流れの経路を縮めながらも,より大胆な機敏な戦略を打ち出していくであろう。組織構造はフラットになりながらも,ハイアラーキでありつづけるし,ハイアラーキでなければならない。なぜなら,経営者は,最終的な業務執行意思決定責任機関であるから。
- 関西学院大学の論文
- 1994-06-20
著者
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