Shc(Src homologous and collagen)結合蛋白の固定
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概要
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Shc (Src homologous and collagen) は種々の増殖因子によるRas活性化に関与することが知られている。本研究では, Shcのシグナル伝達における作用をさらに詳細に検討する目的で,グルタチオンS-トランスフエラーゼ(GST)融合蛋白として発現したShcに結合する蛋白を同定した。GST-Shc融合蛋白をウシ脳ライセートとインキュベートすると,100,110,および115-kDaの蛋白が結合した。これらの蛋白をアミノ酸シークエンスにて解析すると, 100-kDa蛋白より得られたペプチドはヒトβアダプチン, 110および115-kDaの蛋白より得られたペプチドはマウスαAアダプチンのアミノ酸配列にほぼ一致した。αおよびβアダプチンに対する抗体で免疫ブロットを行うと,抗αアダプチン抗体は100,110および115-kDaの蛋白を,抗βアダプチン抗体は100-kDaの蛋白を認識した。Shcへのアダプチンの結合部位を明らかにするため,種々の変異型のShcの融合蛋白を作製L,結合実験を行った。collagen homologous regionを残存する変異型ではアダプチンの結合が見られたが,欠失する変異型では結合が認められなかった。さらに,アダプチンは,collagen homologous regionのアミノ酸233-369および233-355を含む変異型に結合したが, 233-345を含む変異型は結合しなかった。本研究の結果,アダプチンがShcのcollagenhomologous regionのアミノ酸346-355(RDLFDMKPFE)に結合し, Ras活性化以外のシグナル伝達にも関与する可能性が示唆された。
- 神戸大学の論文