外部効果と交渉 (市橋英世教授還暦記念号)
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概要
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外部効果の存在は資源の効率的配分を妨げる重要な要因である。対策としては,ピグー流の課税・補助金政策がまず考えられる。それと択一的な方法としてコース流の当事者間交渉による解決がある。どちらの方法をとるかは「取引コスト」の大きさに依存して決められるべきである。当事者間交渉が可能なときに,課税・補助金政策をとると効率的配分を妨げる結果になる。本稿では,生産者間の外部不経済効果をとりあげ,賠償責任ルールがはっきりしているときの当事者間交渉についてのべることにする。外部不経済の出し手に賠償責任があるか否かが明確であるときには,交渉によって資源配分は改善される。その場合,交渉費用はかからないと仮定されている。§1では生産者間の外部効果を分析する際の基本的想定についてのべる。§2〜§6では当事者間の交渉をいろいろな設定のもとで説明しよう。§2および§3では廃棄物を減少するにはそれをうみだす生産を縮少するしかない場合をあつかう。§4においては,生産量は固定されているとして,それにともたう廃棄物をコストをかけて減らすという場合をあつかう。事後処理のみ可能であるケースは§5でとりあげられる。§6では廃棄物を減ずるための三つの方法が同時に使われるときの交渉について考えることにする。
- 大阪府立大学の論文
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