<事例研究>知恵おくれの学級における外国語(英語)教育
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概要
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知恵おくれの生徒が教科の学習をする意味は,視野の拡大,認識の深化,自我拡大,そして人間性への目覚めなどにあるといえる。教科としての外国語もまた,同じ意味を持ち得るのではないだろうか。同時に,外国語学習には独自の意味がある。それは,母国語への意識を高めることと国際的理解への貢献である。ところで,「精神薄弱特殊学級教育課程編成の手引き」では,外国語の能力を「役立つ能力」としておさえ,生徒の実態により知恵おくれの生徒に対する外国語は「外来語」に限定できることになっている。このおさえは,学習の結果としての「知識技能」を重視する学力観からくる一面的な見方といえるのではなかろうか。どの教科の学習でも,「知識技能」としての学力は重要な側面であるが,これの偏重は今日「学力の剥落現象」といわれるように,受験には強いが生きて働く「ほんとうの学力」が身についたとはいえない。外国語学習で「ほんとうの学力」を身につけるには,その学習を生徒の「実生活」と結合させねばならず,この学習方法の1つに自己表現活動がある。また,知恵おくれの生徒に外国語を教授する際には,「スモール・ステップ」の原則に依ることが絶対に必要な条件である。本論は,文献と若干の実践例を通して知恵おくれの学級における生徒に対する外国語教育のありかたについて検討を加えたものである。
- 1989-03-11