共に学び共に育つ交流教育 : 函館市立中部小学校の実態アンケート調査をもとに
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概要
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今日,教育の荒廃が問題となっている。普通学校にあっては,落ちこぼれ・登校拒否・いじめ・校内暴力などの問題が依然として跡を絶たない。それには,学歴偏重社会・受験競争の過熱・核家族化などのさまざまな原因が考えられる。これらの問題について,望ましい解決策が早急に求められており,教育に携わる者の切実な願いとなっている。障害児教育実地指導で,われわれは,養護学校,盲・聾学校,北海道療育園の実状を学ぶことができたが,そこで,初めて「教育の原点」に巡り会うことができたような気がする。その時,痛切に感じだのは,今日の教育問題を考えていくにあたっては,障害児教育抜きには論ずることができないということであった。児童・生徒ひとりひとりの障害や発達の状況を多面的・総合的に把握した障害児教育のちみつな指導が,今,障害児のみならず健常児にも必要である。教育情勢の展開に伴い,教育改革が必要になっているけれども,学校教育を見直していく場合,こうした観点から教育現場をもう一度じっくり見詰め直すことが先決であると思われる。障害児教育,健常児の教育が,それぞれの分野のみの研究に終わらず,相互に学び合い,望ましい交流教育を進めていくとともに,両者が一体となって子どもの幸せを追求することができたなら,教育問題の見通しは明るくなってくると考えられる。
- 北海道教育大学の論文
- 1988-03-15