自閉児の性の発達と行動に関する調査研究
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概要
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昭和51年以前に生まれた自閉児を対象に,第2次性徴の発現および性の意識・行動について,親またば施設職員,寄宿舎の指導員等へのアンケート調査を行った。アンケート対象者167名,回収数135名,回収率81%であった。その結果,対象児者の年齢は9〜23歳,平均年齢15.1歳,男子110名,女子25名。現在の処遇は,旭川市内特殊学級への通級-16名(12%),養護学校在学-34名(25%),高等養護学校在学-51名(38%),施設入所-31名(23%),就職-1名(0.7%),不明2名(1.3%)。障害程度別では,重度47名(35%),中度58名(43%),軽度29名(21%),不明1名(1%)であった。第2次性徴は,男子では健常児とほぼ同様に12歳から発現がみられ,女子においては,10歳で初潮をむかえている。異性への興味・関心を示しているのは,軽度の者ほど多く,しかも13〜15歳頃に一番多い。***行為は13〜15歳に多く,またその他の性的行動においても主に13〜15歳頃に最も顕著に表れてくる傾向が見られた。親や指導者は,性の指導の必要性を理解しながらも,どのように指導すべきなのか,さらに指導しても子どもにわかってもらえないなど多くの悩みを持っている。また彼らについて,結婚を希望しているものの,年齢がすすむにつれて困難を強く感じている。親の意見の中には,性に関しオープンに話し合われる機会がもたれることを切に望む声があった。
- 1987-03-15