黄黒交互彩色法に関わる主体論の展開
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概要
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ここでは「黄黒交互彩色法」と「主体論的精神病理学」について,我々の試論を述べた。最初に「黄黒交互彩色法」が色彩の誘目性研究と臨床実践とが結びついて生まれた治療技法であることを解説した。ついで,「黄黒交互彩色法」適用のための精神病理学的背景について,主体論的精神病理学を展開した。主体論的精神病理学の展開に際して,精神病理学的空間論の視座に基づいて,病者の存在構造を解明した。さらにここで述べた空間論が人称論に転換可能であることを論証した。つまり,「ここ」=「一人称」,「そこ」=「二人称」,「あそこ」=「三人称」にそれぞれ対応するのである。最後に「黄黒交互彩色法」を実施することで,対象に関わる知覚機能(感覚過程)と過去の記憶と関連づけて対象に意味を醸成する知覚機能(思考過程)が能動的に発動されることを論証した。これらの知覚機能の能動的発動により,病者は世界から主体を奪回出来るのである。
- 北海道教育大学の論文
- 1997-02-07
著者
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