北海道における自閉症への取り組み : 北海道情緒障害教育研究会前史
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本研究は,北海道情緒障害教育研究会(以下道情研と記す)発足までの経緯を,道内における自閉症への取り組みを中心に明らかにしようと考え,道内で最初の自閉症児の診断から,北海道大学の教育学部・医学部の共同体制での取り組み,情緒障害児学級開設までの動向を調査し,検討したものである。その結果,道情研の発足に至るまでには,多分野の多数の人の手による蓄積があったことが明らかとなった。指導について言えば,初期の来談者中心的な個別に対応する遊戯療法から,積極的な集団による遊戯指導,さらに感覚障害児への指導方法を取りいれた指導内容,そして,認知・弁別学習へと段階的に変化してきており,それは我が国の動向と対応したものであった。先駆者たちは,さまざまな指導を試み,それを統合して現在の指導法に行き着いたが,それらは今後の検討で更に発展していくことだろう。この研究を進めていくうちに,全国的にみても早期から統合保育を実施した北大幼児園の活動や,北海道の重複障害教育に影響を与えた札幌盲学校の教師たちによる貴重な努力の存在も発見し,これらは今後是非まとめておく必要を感じた。
- 北海道教育大学の論文
- 1993-03-17