在宅心身障害者および重度・重複障害児における個別指導計画のあり方
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
最近,特殊学級,普通学級にも障害の重い児童の在籍が見られるようになった。しかし,その実態・指導法・教育課程等は必ずしも明確ではない。それは,障害が重くなるほど意志交換(Communication)が難しくなるために健常児に準ずる指導法では対応の限界があることからもいえる。本論文では,旭川市の在宅心身障害児者の自主学級在籍者(重症心身障害児者)について,生育歴・指導歴・成長の記録及び参加観察記録,親の面接記録に基づいて成長の軌跡を振り返り,そこから重度・重複障害児の指導教育の手がかりを得ようとした。その結果,(1)運動能力軸と対人関係(意志交換)能力軸による個人差の広がりが,指導教育の困雌性と関連していること。(2)運動能力停滞-対人関係遅延成長の場合,指導の重点は,移動動作訓練を継続しつつ対人関係的側面に置かれることが望ましいこと。(3)親との連携により暦年齢に相応した話しかけはげましを,個別でも集団の場でも継続することが自主学級在籍者の主体性・自発性を育てる大きな要因であることがわかった。旭川市のT小学校には,種々の事情により重度・重複障害児が多数通学しておりその指導は関わりのあった幾多の指導者の指摘にもあるように,多くの課題が残されている。そこで,自主学級在籍者の成長から学んだことを義務教育在籍児の個別指導計画の作成過程にも組み入れ,主体性・自発性を育てる個別指導計画を試案した。
- 北海道教育大学の論文
- 1992-03-31