コムギ族植物のアミラーゼアイソザイムに関する研究 (III) : Triticum urartu Tum. と他のコムギとの類縁関係(植物防疫学)
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概要
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1. 比較的最近発見されたコムギの一種T. urartuがAゲノムをもつ種であるのか, Bゲノム祖先種であるのかを調査する目的で, アクリルアミドゲル等電点焦点法により, α-アミラーゼアイソザイムの分析を行った。2. T. urartuの示すα-アミラーゼアイソザイムパターンは採集地がへだたった系統についても一定しており, 種内変異はみられなかった。3. T. durumおよびT. aestivumの示すα-アミラーゼザイモグラムには, 主バンド3,4,5,6,7,9および11が共通してあらわれる。T. boeoticumやT. monococcumのそれにはバンド9と11のみがあらわれる。従ってバンド3,4,5,6,7はBゲノムに含まれる染色体上の遺伝子が関与していると考えられる。一方, T. urartuはバンド4,9,11のみを示した。したがってT. urartuはBゲノム祖先種というよりも, Aゲノム種の分化したものと考えた方がよい。4. 二粒系コムギおよび普通系コムギのAゲノムに, T. urartuが貢献した可能性は考えられるが, T. urartuのもつバンド4をTimopheevi系コムギはもっていない。従ってT. urartuがTimopheevi系コムギのAゲノムに貢献した可能性はうすい。5. T. urartuをAゲノム祖先種としてコムギ近縁種を分析すれば, 新たにBゲノム祖先種が発見されるかも知れない。
- 神戸大学の論文
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