<原著>超音波画像解析によるヒト唾液腺の形態的特徴に関する研究
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概要
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唾液腺の画像診断法には,エックス線撮影法,造影撮影法,CTスキャン,超音波診断などの方法がある。これまで,主として下顎咬合法を用いた単純エックス線撮影による唾石症の診断や,唾液腺造影法による導管および腺体の診査が行われてきた。ところが,エックス線透過性の唾石の場合では,単純エックス線撮影では確認できず,また,唾液腺造影法は手技が煩雑であり,さらに,両方法とも唾液腺組織と隣接組織との関係を描出することは不可能である。そして,CTスキャンは唾液腺実質組織の描出に優れているが,被曝や造影に伴う患者の肉体的負担が大きく,適応症例は限られたものになる。一方,超音波の反射波を画像化する超音波診断法は,超音波診断装置の操作が簡便であるばかりではなく,唾液腺実質組織の形態や,この実質組織と隣接組織とを区別するための描記が比較的容易であり,さらに,患者に対する侵襲が少ない。このため,現在では超音波診断法は,頭頸部の軟組織検査に広く用いられている。しかし,唾液腺の診査においては,画像上の形態的特徴の相違は,臨床的経験に基づいて述べられていることが多く,術者の経験の差による不確定要素が常につきまとっている。唾液腺の各種の疾患,すなわち,腫瘍,嚢胞あるいは炎症などを画像上で診断するためには,ヒト正常唾液腺の形態的特徴を明確にし,それと異常所見を比較し,検討する必要がある。そこで,本研究では,最新の画像解析装置を併用することにより,超音波診断法によるヒト唾液腺疾患の診断基準の構築を目的とし,健常者100名を対象に,一定の画像描出条件の基で,撮像方向を規格化し,超音波画像におけるヒト正常唾液腺の形態的特徴を明確にした。これまでに,本研究のごとく多数のヒト正常唾液腺について検索した報告はほとんどみられないところがら,とくに,性差,個体差,唾液腺の種類によるヒト正常唾液腺の形態の相違について注目し,超音波画像の解析を行った。
- 1998-12-30
著者
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