双生児による口蓋の遺伝学的研究
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概要
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約350組の双生児の歯列模型より, 前歯ならびに第一・第二小日歯および第一大臼歯が萌出し, これらの歯に歯質欠損や人為的処置がない上顎歯列模型をえらび, 諸測度より口蓋の形態の遺伝性を調査した。異常な測度や組内差をしめすものは推計学的に一卵性および二卵性双生児の資料から除いたので, 調査対象となったのは一卵性双生児40組, 二卵性双生児14組であった。調査測度の16項目について, 双生児の組内差, 組内差示数および組内差分散よりみると, 口蓋の概形(modulus), 全長径および全面積といった口蓋全体にかかわるものでは, 一卵性双生児の類似度は二卵性双生児のそれよりもたかい。口蓋の形状は遺伝因子と環境の所産ではあるが, 相対的には口蓋は全体として遺伝的安定度がたかく, これに日歯部の形状がつづく。前歯部の形状はやや遺伝的安定度におとっていた。とくに小臼歯部より近心側の所謂前歯部の口蓋の長径は環境の影響に対して強い抵抗性をしめすものとは思わなれなかった。また, 第一小臼歯部や第一大臼歯部といった口蓋の幅径は遺伝的な安定度がたかい傾向にあった。
- 東北大学の論文
- 1986-06-25