培養系におけるヒト扁平上皮癌の分化度と基底膜形成に関する微細構造学的研究
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概要
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扁平上皮癌(食道原発)の高分化型4系, 中分化型2系, 低分化型3系をコラーゲンゲル上に, 10日, 20日, 40日間培養し, 癌細胞とコラーゲンゲルとの境界における基底膜の形成の有無を検索することにより, 癌細胞のin vitroにおける分化度と基底膜形成との関係について比較検討を行なった。多量のtonofi1ament, desmosomeを有する電顕的に高分化型の癌細胞はコラーゲンゲル上では, 多層化傾向を示し, 基底細胞は比較的楕円形で, 上層に移行するに従ってtonofilamentが増加し, 基底膜の形成が高度であった。一方, 多層化はあっても, tonofi1amentの量が少なかったり, 層の極性の弱いものは, 基底膜を形成する傾向は少なかった。わずかにdesmosomeを有するが, tonofi1amentのほとんど含まない低分化型はコラーゲンゲル上で単層化傾向が強く, 基底膜の形成は認められなかった。基底膜はhemidesmosomeの下面から形成され始め, hemidesmosomeが固定装置としての作用を有し, この部で基底膜が安定化されやすい可能性が考えられた。
- 東北大学の論文
- 1985-12-25