ラットの象牙質とエナメル質の形成に及ぼすメチルプレドニゾロン 長期投与の影響
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概要
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メチルプレドニゾロン(mPSL)の長期投与が, 歯の形成にどのような影響を及ぼすかについてラットを用いて検討した。0,2.5,5,10,20mg/kg/dayのmPSLを5週齢のラットに4週間, 皮下投与した。象牙質形成量を測定するためニトリロトリ酢酸鉛による硬組織内時刻描記を適宜施した。下顎切歯について切端側と歯根側の2ヶ所から脱灰横断標本を作製した。また, 0および10mg/kg/dayのmPSLを4週間投与した別のラットについて, 屠殺1時間前に〓-プロリンを投与し, 下顎切歯矢状縦断標本のラジオオートグラフを作製した。象牙芽細胞とエナメル芽細胞の基質合成・分泌活性を測定するために, 細胞上および基質上にみられる銀粒子数を測定した。その結果, (1)象牙質の形成量と幅径はmPSLにより用量依存的に抑制された。また, 象牙質幅径の抑制に比例して歯髄径は用量依存的に拡大した。(2)象牙芽細胞による〓-プロリンの取り込みと基質中への分泌はmPSLの投与により抑制された。この抑制は基質形成前期の象牙芽細胞ではみられず, 基質形成後期の象牙芽細胞においてみられた。また, 象牙芽細胞の高さと象牙前質の幅についても基質形成前期には影響はみられず, 基質形成後期に減少がみられた。(3)mPSLの投与によりエナメル芽細胞の3H一プロリンの取り込みと分泌量には対照群との間に差はみられず, エナメル質の厚さにも変化はみられなかった。以上の結果からmPSLは象牙質の形成を用量依存的に抑制することが示された。一方, エナメル質の形成は象牙質形成に較べて影響を受けにくいと考えられた。
- 東北大学の論文