スーパー抗原ならびに細菌内毒素によるアポトーシスを介した単球のCD80発現調節作用
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概要
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スーパー抗原であるstaphylococcal enterotoxin B(SEB)は単球のアポトーシスを誘導し, 内毒素リポ多糖(LPS)はこれを抑制する。SEB刺激で誘導される単球のアポトーシスは抗CD95(Fas)抗体, 抗CD95リガンド(CD95L)抗体により抑制されることから, SEBはFasの経路を介したアポトーシスを誘導することが示唆された。また, SEB刺激によるCD80^^^^+単球の増加と関連して, CD80^^^^-単球の方がCD80^^^^+単球よりもアポトーシスに高い感受性を示し, CD80^^^^+単球が選択的に増加することが示された。一方, SEB刺激でT細胞からインターフェロンーγ(IFN一γ)が産生される。IFN一γは単独でCD80を単球に誘導する。IFN一γの作用は, 抗CD119(IFN-γレセプターα鎖)抗体を用いたIFN一γレセプターのブロックによるCD80^^^^+単球の減少により確かめられた。また, LPSはインターロイキン(IL)一10の作用を介してCD80の発現を抑制した。しかしながら, SEB刺激で誘導されるCD80^^^^+単球はIFN一γが産生される前から緩やかに増加すること, 抗FasL抗体処理によるアポトーシス抑制によってCD80^^^^+単球が減少することから, このCD80^^^^+単球の増加は, SEB刺激に対する単球の複合的な反応の結果であることが示唆された。すなわち, SEB処理により, IFN一γが産生される以前にすでに単球にアポトーシスのシグナルが伝達され, その感受性の違いからCD80^^^^+単球の選択的な増加が起こる。遅れて産生されるIFN-γの作用により, さらに二次的な増加が誘導される。一方, LPSはアポトーシスおよびIFN-γの作用の両方に抑制的に作用し, SEB刺激で誘導されるCD80^^^^+単球の増加を抑制することが示唆された。
- 東北大学の論文