抗てんかん薬ゾニサミド長期投与が成長期ラット骨代謝に与える 影響とアルファカルシドールの併用効果について
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概要
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近年合成された抗てんかん薬ゾニサミドを成長期ラットに長期投与し, 骨代謝に与える影響を, 画像を用いた骨密度の測定, 組織標本上での骨形態計測, 血清中骨代謝マーカーの変動を指標として検討した。さらにゾニサミド投与によって起こる骨密度の減少がアルファカルシドールの併用により抑制できるかどうか検討した。また, 骨器官培養により, ゾニサミドが直接骨吸収促進作用を持つか否かについて検討した。その結果, 1)高用量のゾニサミド(80mg/kg/day)は, 脛骨骨幹端部および骨幹部において骨密度を減少させた。2)骨形態計測の結果ゾニサミド投与群で, 骨梁数, 骨梁幅および骨量の減少がみられたが, 類骨の蓄積は観察されず, 骨量減少の本態は, 骨軟化症ではなく骨粗鬆症に近いものと考えられた。3)ゾニサミド投与により, 血中骨吸収マーカーのピリジノリンの増加が観察されたことからゾニサミドは骨吸収を促進することにより骨密度の減少をきたす可能性が示唆された。この骨吸収の亢進はゾニサミドが直接的な骨吸収促進効果を持たないことから, 二次的なものであると推測された。4)ゾニサミドは骨芽細胞の性状にも影響を与えることから骨形成に対しても抑制的に作用すると考えられた。5)アルファカルシドールの併用投与によって, ゾニサミドによる骨密度の減少は有意に抑制された。この抑制効果はアルファカルシドールの骨形成促進作用によることが推測された。
- 東北大学の論文