障害者歯科学の意義と展望
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概要
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障害者歯科学とは, 障害者の顎顔面領域の機能を正常な方向へ促進し, あるいは阻害された形態と機能の回復を図り, 口腔衛生・保健の向上と維持に努める学問である。障害者が健常者と同等な歯科医療を受けることは, 人間として当たり前のこととして捉え, 障害に対する知識を集積し, それぞれの障害に合った歯科医療を究明し, 確立していかなければならない。障害は障害を持って生まれなければ, 関係ないことではなく, 疾患, 事故等で中途障害の機会は人生の中で常にあり, 老化すると何らかの障害を多くは持つに至る。障害者歯科学は障害者がライフスタイルの中で, 人間としての尊厳を損なうことなく, 生命を全うできるよう, 口腔ケアを図りながら, 障害を取り巻く社会環境を改善し, 生活レベルの向上に寄与すべきである。障害者に優しい福祉社会は障害者特有のものではなく, 障害を持たない人々にも住みよい社会環境をもたらすであろう。障害者歯科学は21世紀に向けて最もニーズに応えることができる学問である。障害者歯科学がシラバスの中に独立して位置づけされている大学は少ない。一般開業医は障害者に対し, 十分に対応できず苦慮しているが, 他の医療機関へ紹介することもあまりしていない。受診時の困難として, 知的障害者は治療受容を, 身体障害者は交通手段を主に訴え, 障害者専門の歯科あるいは身近な歯科医療機関を希望していることが多い。そこで, 各地区に2次医療機関として心身障害者口腔保健センターを設置し, 3次医療機関の本学歯学部附属病院とのネットワークづくりを提案する。
著者
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