細菌内毒素によるTNK細胞の活性化とガンマーインターフェロン産生誘導
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概要
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グラム陰性菌の内毒素性リポ多糖(LPS)は, 種々のサイトカイン産生を誘導し免疫応答を調節することが知られている。またナチュラルキラー(NK)細胞や, 丁細胞とNK細胞の両方の性質を具備したTNK細胞をLPSで刺激すると, 強い細胞傷害活性を示すようになる。本研究では, LPSの免疫応答調節作用の新たな側面を明らかにする目的で, C57BL/6マウスにE8血沈伽oo〃のLPSを腹腔内投与し, 肝臓で活性化されたNK細胞とTNK細胞の動態と, サイトカインとの関わりを検討した。本実験によって, LPSによる肝臓のNK細胞とTNK細胞の活性化は, 主としてLPSによって誘導されたインターロイキン12(IL-12)を介する機序によって起こっていることが明らかになった。また, TNK細胞はIL-12反応性細胞の中でも, IL-12受容体の発現が顕著に高く, NK細胞よりも高いIL-12反応性を示すことが示唆された。さらにIL-12をC57BL/6マウスに腹腔内投与するとNK細胞やTNK細胞の細胞傷害活性の増強と, 血清中に高レベルのIFN一γが検出されたが, IFN一γの産生細胞は, IL-12により活性化されたTNK細胞が主であることが示された。また, 活性化したTNK細胞は, IFN一γを介するオートクライン的な機構によって, IFN一γを産生し続けることが示唆された。歯周病発症に深く関わるとされる黒色色素産生菌のLPSにも同様の活性が認められることを考えあわせると, これらの知見は歯周局所でも, IL-12産生誘導に伴うサイトカインネットワークの活性化がもたらされる可能性があることを示している。
- 東北大学の論文