日本で市販されている小児用シロップ液状総合感冒剤の歯垢内酸産生性
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概要
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日本で市販されている小児用シロップ液状総合感冒剤のヒト歯垢における酸産生性を薬剤摂取直後から30分間にわたり電極内蔵法で検討した。10社12種類のシロップ液状総合感冒剤について, スクロース濃度を測定したところ, 9社10種類の薬剤にスクロースが高濃度(23%〜48%)に含有されており, 1社で販売されている2種類にはスクロースもグルコースも含有されていないことがわかった。シュガーフリーの薬剤では歯垢pHを6.0以下に低下させることはなかったが, スクロースを高濃度に含む液状薬剤について検討したところ, 歯垢のpHは4.5〜5.2まで低下し, 酸産生性がきわめて高いことが判明した。また, スクロース含有薬剤摂取後の唾液中のスクロース濃度を測定したところ, 唾液中のスクロースは急激に減少し, 10分後にはほとんど消失するのに対し, 歯垢pHは低下し続けることがわかった。また, スクロース含有薬剤摂取直後より, 7回水で洗口を繰り返しても歯垢pHの低下には影響がみられなかった。本研究の結果, 日本で市販されている多くのシロップ液状総合感冒剤にはスクロースが高濃度に含まれており, 歯垢による酸産生性がきわめて高いことが判明した。これらの薬剤の齲蝕誘発性を未然に防ぐためには, 含有されている発酵性の成分を非または低発酵性の成分に置き換えるべきと考えられる。
- 東北大学の論文
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