自然発症インスリン非依存性糖尿病マウスにおける骨減少症
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概要
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糖尿病性骨減少症は, インスリン依存性(1型)糖尿病患者ではその存在が一般に認められているが, インスリン非依存性(II型)糖尿病患者では確定されていない。本研究の目的は, II型糖尿病における骨減少症の存在と病態について明らかにする事にあった。実験には, ヒトのII型糖尿病モデルに近いKK-A^yマウス(5週齢から25週齢)を用い, 骨塩量, 骨形成量, 血清生化学値の測定, 組織学的検索等の多面的な検討を行い, 以下の結果を得た。1)5週齢から25週齢までのKK-A^yマウスの脛骨骨塩量は対照のICRマウスの骨塩量に比べて低値を示した。2)KK-A^yマウスの骨形成量は, 対照のICRマウスに比べ, 有意の低値を示した。3)KK-Ayマウスでは, 骨端軟骨板内の軟骨細胞の分化不全, 骨梁の長軸方向への劣成長, 軟骨板直下への侵入血管の減少等の組織学的所見が得られ, インスリン非依存性糖尿病状態においては, 軟骨内骨化機転が抑制されていることが示唆された。また, 骨芽細胞の小型化, 扁平化, 破骨細胞の数の著しい減少と小型化を認め, これらの細胞の機能低下が推測される所見を得た。以上の結果より, II型糖尿病では骨減少症が発現し, その本態は骨形成と骨吸収の両機能が低下する低回転型骨代謝であると考えられた。
- 東北大学の論文