歯科用合金の組み合わせによる腐食機構について
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概要
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インプラントなどの普及により, 口腔内で純チタンおよびチタン合金と歯科用合金を組み合わせる場合が多くなっており, その際にいわゆるガルバニ腐食が発生しやすくなり, 腐食が進行する可能性がある。そこで純チタン, Ni-Ti合金と歯科用合金を組み合わせたときの腐食機構についてガルバニ腐食を中心に, 7日間浸漬による溶出イオン量の測定, 自然電極電位の測定, 合金表面性状の観察から検討を行った。その結果, 金銀パラジウム合金, 白金加金と純チタンを組み合わせて0.9%NaC1水溶液に浸漬すると, 自然電極電位の高い貴金属合金からのCuイオンの溶出量が有意に増加し, 1%乳酸水溶液に浸漬したときには変化が見られなかった。また, 白金加金とNi-Ti合金を組み合わせて0.9%NaC1水溶液に浸漬すると, Niイオンの溶出量が増加する場合が見られた。Co-Cr合金, Ni-Cr合金と純チタン, Ni-Ti合金を組み合わせて0.9%NaC1水溶液に浸漬すると, Coイオン, Niイオンの溶出量が増加する場合が見られた。自然電極電位は, 0.9%NaC1水溶液浸漬ではCo-Cr合金, Ni-Cr合金共に試料間に差が見られ, 純チタン, Ni-Ti合金より低くなるものも見られた。以上より, 合金の自然電極電位差や合金中の優先溶解相, 鋳造欠陥の存在などが腐食を進行させる要因であることが示唆され, 口腔内に異種合金を適用する際の指標を得た。
- 東北大学の論文