A群溶レン菌培養液中に検出されるVβ8^+T細胞活性化スーパー抗原(sCAP)の分離とその生物学的性状
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概要
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筆者らは, 既に, Streptococcus(S.)pyogenesT12株の細胞膜から, ヒトT細胞レセプター(TCR)のVβ8鎖に特異的反応性をもつ, 新規の溶レン菌スーパー抗原cytoplasmic membrane-as-sociated protein(CAP)を発見している。本研究は, このVβ8^+T細胞活性化スーパー抗原分子が, T12株の細胞膜のみならず, その培養液中にも見出されることから, この活性因子の分画ならびに物理化学的, 生物学的性状を検討したものである。T12株培養液に検出されるVβ8^+T細胞活性化因子は, 電気泳動法による解析により, 分子量28,000,等電点約7.1の耐熱性蛋白分子であること, この性状は, 同じくVβ8^+T細胞活性化分子CAPに類似するが, T12株や, 他の溶レン菌培養液中に見出される溶レン菌毒素SPE-A, SPE-B, SPE-Cとは異なることを明らかにした。次いで, この物質に対するウサギ免疫血清はCAPの活性も中和することから, 本物質はCAPの分泌型に相当する分子であることが強く示唆され, これを分泌型CAP(secretory CAP)と命名した。sCAPは, 調べた限りのA群溶レン菌々株の培養液中に検出されるが, B群, D群を含む他のレンサ球菌々種の培養液中には見出されなかったことから, 本分子は, A群溶レン菌に共通, 且つ, 特有のスーパー抗原分子であることが示唆された。さらに, ヒトの急性, 慢性の溶レン菌感染症におけるsCAPをはじめとする溶レン菌スーパー抗原の病因論的役割について考察を加えた。
- 東北大学の論文