歯根修復に関する研究 : 第5報 年齢別および細胞継代数によるヒト歯根膜細胞の分化機能の比較
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概要
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ヒト抜去歯から歯根膜細胞を採取して培養し, その後人工歯根面にこれらを付着培養して歯槽骨内に移植することにより歯根膜を形成せしめ, 天然歯根と同様な機能を有する人工歯根を構築するための研究が進められている。本研究はこの研究の一環として行なわれたものである。この歯根修復術確立のためには, 1.ヒト歯根膜細胞を培養保存するための技術開発, 2.得られた各種歯根膜細胞および同継代細胞の特性同定とその比較, 3.採取し, 培養増殖し.あるいは保存された細胞の応用に関する技術開発が必要である。また, この目的に使用する細胞はいずれも, 本来歯根膜細胞が有する高い分化機能を保持したものでなければならない。本研究では各年齢層の患者より得られた抜去歯から, ヒト歯根膜細胞を採取培養し, 細胞提供者の年齢や細胞の継代数が細胞の分化機能にどのような影響を与えるかについて検討した。検討項目はAlkaline phosphatase(ALPase)活性および歯根膜の構成蛋白である1型コラーゲンの合成能とした。その結果1,ヒト歯根膜細胞の初代培養の成功率は約90%であった。2.ヒト歯根膜細胞のALPase活性は0.02〜0.5mM p-NP/hr/wellの範囲に分布しており, 細胞提供者の増齢と共にALPase活性は低下する傾向にあった。3.歯根膜細胞では歯肉細胞に比べ, 高いコラーゲン合成能が示された。4.細胞の継代数によるこれらの分化機能の変動は比較的小さかった。
- 東北大学の論文
- 1991-12-28
著者
関連論文
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