幕藩制初期における「物成」の機能
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概要
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日本近世の社会編成の基礎をなす石高の性格について大きく二つの見方が存在する。石高の生産力表示的側面を重視する見方と、石高の形式性・擬制制を評価する見方である。石高の性格・内容は時期的にも地域的にもかなりの差異があり、単純に択一できるものではないが、いったん決定された石高がその後固定化され現実の生産力として乖離していく傾向をみせるのは先行研究の示すところである。小稿の目的は、現実の生産力と乖離傾向を示す石高と、生産力と相対しこれを一定度反映する物成との関係に着目し、「物成」(物成収納実績)が家臣に対する知行宛行の基準として、また農民からの年貢収取の基準として機能していく過程を明らかにすることにある。
- 熊本大学の論文
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