ヤマトタケル説話考(下) : 解釈による創作
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概要
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(上)でも述べたようにヤマトタケルのヲトタチバナヒメの入水の話は、王権の論理に包含されなかった要素を記紀双方に内包させている。それがヲトタチバナヒメの本来の姿なのである。そこには異類婚姻譜の女主人公の姿が見えて-る彼女は「御子に易りて」と記では言って、東征の場面で入水することによって記の王権の中に取り込まれる。紀では「王の命に腰へて」と言い記よりも積極的に王権の論理に取り込まれつつ、悲劇性を意識するのである。この話がより悲劇性を増すのは王権の論理を意識し、合理性を追求する近年の解釈によることを述べた。
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