土地価格論の学説史的考察-農地価格論における限界採算地価論の批判的検討-
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概要
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土地価格形成メカニズムを解明することは,土地所有と土地利用の矛盾が形成されるメカニズムを明らかにし,究極的には資本主義のもとでの私的土地所有批判をも射程におくことになる。しかしながら,バブル経済の崩壊以後,地価が下落しているにもかかわらず,地価上昇を前提として従来の土地価格論では,地価形成メカニズムを明らかにできない。そこで本稿では,従来の土地価格論の批判的考察を行う。とりあえずここでは,あらゆる土地価格形成の出発点となっている農地価格についての考察をする。 明らかにしたのは,次の点である。(1) 地価上昇下の農地価格論(農民的採算地価論)の論点開示を行った。(2) 農地価格論の主流である「限界採算地価」論の論点整理と,その意図を整理し,内在的批判をした。(3) (2)との関係で「切り売り労賃」論の論点整理とその意図を整理し,再評価した。(4) 「限界採算地価」論について,価格論と「限界」概念という視点から,その限界を指摘した。(5) かくして,第一に,家族農業の維持・発展という立場から,第二に,現代資本主義論との関連で展開し,第三に,価値・価格法則の下での土地価格形成メカニズムを解明しなければならない,という課題が残された。
著者
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