ヒートパイプエンジンの開発的研究
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概要
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ヒートパイプ原理の応用の一つとして「ヒートパイプエンジン」を提案する。このエンジンは, ヒートパイプ状容器の定常作動状態において何らかの方法によって冷却部を周期的に開閉することにより, 管内の蒸気を間歇的に凝縮させて蒸気圧を変動させ, この圧力変動部分を直接仕事として外界に取り出そうとする熱機関である。従って, 作動流体の相変化に伴って大きな圧力変動を生じさせることが肝要であるが, 適当な作動流体を選択することと, 構造上の工夫を加えること, および「熱シャッタ」と呼ばれる冷却部開閉器の働きによってこれを達成しようとするものである。このエンジンの理論サイクルは形式的にはガス機関のオットーサイクルと同じであるが高々300℃以下の低温度領域での使用を目的としており, 常時気液二相の状態でエンジンを動作させることを前提としているため, 通常の意味での熱的効率は必ずしも良くない。このエンジンが原理的に動作することを実証するため, エンジンの概念モデルを試作しメチルアルコールを作動流体として予備実験を行なった。結果は熱シャッタの動きに応じて, 蒸発部温度が50℃, 冷却部が22℃程度の温度領域において, 最大約0.1MPaの圧力変動が発生した。また, 熱シャッタを周期的にゆっくり(1サイクル20秒間位)移動させると, 圧力変動も周期性を示すが波形は必ずしも単純でなく再現性もあまり良くない。しかし, これらの事実はエンジンとしての最小限の必要事項を満足するものであり, ヒートパイプエンジンの実現性を暗示している。
- 宇宙航空研究開発機構の論文
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