熱帯系桑の琉大熱研への導入と, それら導入桑の特性(附属熱帯農学研究施設)
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概要
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今回導入した熱帯系桑のなかには収葉量・活着率等において誠に優れた特性を持つものが多く存在することが分かった。しかし, それらの桑品種も樹姿・樹幹形状等から見ればそのままでは, これからの省力化されるべき飼育形式に必ずしも適応出来ないものも存在する。勿論, それら個々の特性は沖縄でも優良桑品種の選出・育成が大いに期待されるなかで, その育種素材として誠に貴重なものといえるであろう。シマグワは先の実験と同じ様に挿木が困難であることが更に明かになった。先の実験でシマグワ系桑が台桑系に収葉量等において劣ったのは生育特性のほかに苗木も関係したのではないかと冬期とはいえ見本桑園の成績から考えられる。シマグワは生長が遅いばかりでなく飼育に不便な臥伏型(条)であるが, 膏薬病に耐病性で, 更にキボシカミキリの被害が少ないなどの良い性状を持っている。特に導入熱帯系桑に比較して西表の北風と寒気に耐えて落葉し難いことは八重山のごとき環境における年間飼育のために誠に貴重な特性といえるであろう。今回の導入桑のなかに地域とか時期によって大被害が発生し, 大きな問題になる赤渋病に対する耐病性を持つ熱帯系桑品種が見つかったことは大きな収穫であった。特にMIURA・PALLEKELLEは赤渋病ばかりでなく膏薬病に対しても耐病性を持つことは誠に貴重な性状の桑品種といわねばならない。
- 琉球大学の論文
- 1987-12-05