運動と血中遊離脂肪酸の消長について

概要

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血清遊離脂肪酸に対する激運動の影響について研究した。血清遊離脂肪酸の毒性について心電図所見によって検討した。被検者は10名の男子大学生と56歳の男子1名である。それぞれの被検者に毎分260mの速度で5分30秒のトレッドミル走, 1500m走および5000m走を負荷した。結果は次の通りである。1 安静時のオレイン酸の比率が他の遊離脂肪酸に比べて最も高かった。2 激運動中, 血清遊離脂肪酸の濃度は急速に減少した。3 末梢組織での運動中の血清遊離脂肪酸の酸化速度は個々の脂肪酸によって異り, 特に酸化代謝の最も速いものはオレイン酸であった。4 運動後の心電図では56歳の男子1名の5000m走の場合を除いて異常所見がみられなかった。心室性期外収縮とST部の下降が血清FFAの急速な増加と平行して観察された。以上のことより次のことが示唆された。血清FFAは運動開始時にエネルギーとして用いられる。被検者が20歳代の健康な男子のように遊離脂肪酸の処理能力を持っていれば, 遊離脂肪酸濃度が高くても心電図に異常所見がみられない。
横浜市立大学の論文
1978-10-31