<原著>センダイウイルスV蛋白に高度に保存されたアミノ酸のウイルス病原性とRNA editingにおける重要性
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概要
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センダイウイルス(以下SeVと略す)のV蛋白は培養細胞でのウイルス増殖には必要ないが, マウス個体での増殖には不可欠であり, V蛋白はマウスでのウイルス増殖を促進する機能をもつと考えられている。V蛋白特異的(Vu)領域にはパラミクソウイルス亜科に共通して保存された15個のアミノ酸残基が3つの領域に固まって存在する。RNA editing部位の直後からの連続した4個(領域I), Vu領域のほぼ中央部に5個(領域II), さらに, C端側のzinc-finger-like regionには6個のアミノ酸(領域III)が保存されている。本研究ではこれらの保存されたアミノ酸のV蛋白の機能における意義を検討するために, これらのアミノ酸に変異を導入して, 9個の変異ウイルスを作製した。全ての変異ウイルスは培養細胞で野生型ウイルスと同様に増殖したが, いずれの変異ウイルスもマウスの肺内での増殖と病原性は低下した。変異ウイルスのうちの1つのSeV-H_<318>NはRNA editing効率の著しい低下を示し, 318番目のヒスチジンはRNA editingのために保存されていることが示された。領域Iと領域IIの変異はVu蛋白の亜鉛結合能を阻害しなかったが, 領域IIIに変異を導入したVu蛋白では亜鉛結合能に著しい低下が観察された。これらの結果から領域IIIの保存されたアミノ酸は亜鉛と結合する構造をとることによって, 領域Iと領域IIの保存されたアミノ酸は亜鉛結合とは関係なく一定の蛋白構造を与えることによって, V蛋白の機能に重要な役割をもつことが示された。また, RNA editing効率の実験結果からediting部位のすぐ下流のヒスチジンがコードされる塩基配列が効率の良いRNA editingのために必要であることが明らかとなった。
- 広島大学の論文
- 2002-02-28
著者
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