<原著>肘部管での尺骨神経圧迫因子の検討
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
変形性関節症を伴う肘部管症候群の病態を解明し, どのような治療が効果的かを検討するために, 系統解剖用26保存遺体, 50肘を用いて肘部管における尺骨神経圧迫因子の検討を行った。肘屈曲により, 肘部管容積が減少することがわかったが, 加齢とともに増加する尺骨神経溝底の骨隆起や骨棘などは骨性因子として肘部管容積をさらに減少させ, 神経圧迫の原因となることが推察された。肘部管近位縁の腱膜性構造物であるcubital tunnel retinaculum(滑車上肘靭帯)の形態が強靭な型では, これによる神経圧迫の関与も考えられ, 骨性因子とは別に腱膜性因子とした。また, 尺骨神経の肘関節枝の分枝の位置がおおむね, 肘部管の存在する位置に一致することから, 尺骨神経の絞扼部位における関節枝の圧迫や刺激が, 肘部管症候群での肘の疼痛の原因の一つと推察された。以上のことから, 変形性関節症を伴う肘部管症候群の発症には, 骨性圧迫因子が原因となり, さらに腱膜性因子の関与と, 尺骨神経関節枝の絞扼が関係するものと思われた。本症候群の治療には, 神経溝内の骨隆起や骨棘を切除して, 主因たる骨性圧迫因子を除去することが重要と考えられた。
- 広島大学の論文
- 2000-10-28
著者
関連論文
- 前腕骨骨幹部開放性骨折の治療成績
- 小児陳旧性モンテジア骨折に対する観血的治療の術後成績
- 短合指症の治療成績
- 手指骨疾患に対する創外固定の使用経験
- 月状骨嚢腫性病変の診断
- リウマチ肘に対する人工肘関節置換術の術後成績
- スポーツに起因した陳旧性手指PIP関節背側脱臼骨折の検討
- リウマチ前足部変形に対する切除関節形成術の術後成績
- 非外傷性前骨間神経麻痺に対する神経剥離の意義について
- リウマチ肘に対する外科的治療の術後成績
- リウマチ肘に対する滑膜切除術の術後成績
- 肘部管での尺骨神経圧迫因子の検討(学位論文抄録)
- 肘部管での尺骨神経圧迫因子の検討
- 肘部管での尺骨神経圧迫因子の検討
- 肘部管での尺骨神経圧迫因子の検討
- 橈骨楔状骨切り術によるキーンベック病の治療経験
- 自然閉経後の腰椎骨塩量減少例に対するビタミンD療法、女性ホルモン補充療法ならびに両者併用療法の比較検討