南極産魚ハゲギスTrematomus newnesi Boulenger の餌動物発見と採餌行動開始に際して視覚の果たす十分な役割(英文)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
ノトセニア科に属する南極産魚ハゲギス, Trematomus newnesi BOULENGERの餌動物発見機能を理解するために, 視覚刺激実験を行った。1997-98年夏期に, サウスシェトランド諸島, キングジョージ島, アドミラルティ湾において, 大小21尾ずつの2群, 計42尾を採取した。実験は環境条件制御をした水槽を用いて行った。光条件は22時間の明期, 2時間の暗期とした。視覚刺激の評価をするために, 餌動物として2種の端脚類, Gondogeneia antarcticaとWaldeckia obesa, それにナンキョクオキアミEuphausia superbaを透明な容器に入れた上で, 水槽に入れた。化学的刺激を与えないように, 餌動物を入れた容器の水と魚が入った容器の水との接触が起こらないようにした。各実験とも, 供試魚の42.3%が刺激に対して反応した。端脚類は18cmの距離から, またナンキョクオキアミは22.5cmの距離から発見された。給餌つまり視覚刺激を与えてから, 最初の行動が起こるまでの時間差は17.7秒であり, 刺激は実験時間30分の51.5%の間持続した。30分の観察時間中に端脚類を攻撃したのは平均20.9回で, "いじめ"を完了した回数は平均9回であった。また, ナンキョクオキアミを攻撃したのは平均28.3回で, 平均12.6回が"いじめ"を完了した。最高値は常に実験開始から10分以内で起こった。刺激に対する反応状態は, 実験の前半に有意に高かった。視覚刺激によって引き起こされる一連の能動的行動が明らかになった。ハゲギスの網膜はニューロンと, 餌動物発見の重要な手段となる正確な像を結ばせる4型の光受容細胞からなる複合基質であり, 化学的, 機械的刺激を欠いても, 十分に摂餌行動を惹き起こすことができる。
- 国立極地研究所の論文
著者
-
Fanta Edith
Universidade Federal Do Parana Departamento De Biologia Celular
-
Donatti Lucelia
Universidade Estadual do Centro Oeste, Departamento de Biologia
-
Freiberger Sandra
Universidade Estadual do Centro Oeste, Departamento de Biologia
-
Donatti L
Univ. Estadual Do Centro Oeste Pr Bra
-
Donatti Lucelia
Universidade Estadual Do Centro Oeste Departamento De Ciencias Biologicas
-
Freiberger Sandra
Universidade Estadual Do Centro Oeste Departamento De Biologia
関連論文
- 南極産の魚 Notothenia neglecta Nybelin (ノトセニア科)網膜の光受容細胞と色素上皮の微細構造(英文)
- ノトセニア科魚類(魚類:ノトセニア亜目)に属する6種の魚の水槽中における摂餌戦略(英文)
- 異なる塩分に対する南極産ノトセニア科魚類 Notothenia (Gobionotothen) gibberifronsとTrematomus newnesi の鰓上皮層細胞の形態変化および一般形態と行動上の変化(英文)
- 南極産魚類Trematomus newnesiとGobionotothen gibberifronsにおける異なった光条件下での採餌戦略と行動パターンの比較研究(英文)
- 南極産魚ハゲギスTrematomus newnesi Boulenger の餌動物発見と採餌行動開始に際して視覚の果たす十分な役割(英文)