リオメーターで観測された30MHz混信の性質
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概要
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1989年, 南極あすか観測拠点で30MHzリオメーターの観測を行った。太陽活動が最大級であったこの年, 混信が非常に多く出現した。この混信は規則的な日変化や季節変化を示し, 670km東方の昭和基地でも同様の特性の混信が受信された。この混信は, さらに北半球極域でのリオメーター及び日本での電波観測にも同様に現れており, 地球規模で発生している現象であると考えられる。この混信の出現特性を, 電離層foF_2のデータ, 地磁気活動指数Kp, また太陽黒点数と比較を行った結果, 次のことがわかった。1)リオメーターの混信は主として, 電離層で反射された遠方からの電磁波である。2)混信の出現特性は, 伝搬経路の電離層(特に, F_2層)の状態を反映しており, foF_2とよい相関を示す。3)混信の出現頻度が週末に減少するという出現特性が得られたので, 雑音源は, 自然雑音ではなく, 人工雑音が主であると推定できる。以上により, 混信は単なる不要雑音ではなく, 伝搬経路の電離層や雑音源の情報を含んでおり, また地球の電磁波(特に人工雑音)環境を知る手掛かりともなり得ることがわかった。
- 国立極地研究所の論文