開缶した缶詰の内面腐食におよぼす各種酸及び塩の影響について
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概要
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市販缶詰中に存在すると考えられるクエン酸, リンゴ酸, シュウ酸, 硝酸溶液をそれぞれpH3,3.5,4,5に調整し, また, 一般的に缶詰のスズ溶出に顕著な影響を及ぼすと報告されている硝酸カリウムを50,100ppmに調整し, 新しい空缶(通称ミカン缶)に入れ, スズの溶出におよぼす影響を検討した。1.4種の酸の中ではクエン酸の場合が最もスズ溶出量が多く, pHに関してはpH3のスズ溶出量が最も多くなった。シュウ酸やリンゴ酸はクエン酸より溶出量が少なく, 硝酸に関しては全くスズの溶出は確認出来なかった。2.缶詰中に共存していると考えられる酸のスズ溶出に及ぼす相乗作用についてクエン酸, シュウ酸, 硝酸の3種の酸をpH3に調整した後組合せて検討した結果, クエン酸と硝酸の混合溶液が最もスズ溶出量が多くならた。クエン酸, シュウ酸, 硝酸の3種混合溶液はクエン酸硝酸の2種混合溶液よりややスズ溶出量が多くなった。3.硝酸カリウム濃度(50,100ppm)のスズ溶出に及ぼす影響は大差なく, 共存する酸の種類により影響され, 硝酸と同様にクエン酸が存在するとスズ溶出量が急増した。4.缶内面の酸による腐食状態から今回用いたクエン酸, シュウ酸, リンゴ酸, 硝酸, 硝酸カリウムの中ではクエン醗が最も腐食作用が強いことが認められた。クエン酸存在下においては硝酸カリウム濃度が高い程腐食が激しくなる傾向が認められた。
- 東海学園大学の論文
- 1988-07-20
著者
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