秋田紫糯68号の食味におよぼす調理法の影響
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概要
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秋田県では異常低温の年でも収穫可能な品種として,古代米の形質を持つ秋田紫糯68号を育種した。著者らはこの秋田紫糯68号の特性を出来る限り発揮させるための最適な炊飯条件を探すため,本品種(搗精82.9%)の炊飯特性と食味の関係について研究し,その対照としてもち米のおとめもちとうるち米のあきたこまちを用いて比較した。本研究で明らかになったことは次のとおりである。1)秋田紫糯68号の水分含有量はあきたこまちとおとめもちに比べると若干高い値を示し,K,Mgの含有量が高かった。2)秋田紫糯68号の米の浸漬による吸水率はおとめもちと似た傾向を示し,15分,30分では対照のおとめもちより高く,3時間経過では同じ吸水率を示した。また,6時間浸漬による米粒,飯粒の形状変化では他の品種に比べ,横長い膨潤を示した。3)通常のもち米の炊飯器具である蒸し器より簡単に炊飯できる電子レンジ,全面IHジャー炊飯器の炊き上がり倍率と加水比を検討した結果,全面IHジャー炊飯器の加水比1.0が秋田紫糯68号の最適加水比であった。4)最適加水比1.0で調製された秋田紫糯68号米飯の物性は硬さ6.75kg,粘り0.75kg,擬集性0.59T.UNIT,付着性15.77,粘り/硬さは0.11であった。全面IHジャー炊飯器による本品種の炊飯米が官能検査おいて,外観(色,つや),食味(味,食感,香り,総合)ともに1%の有意差でおいしいと評価された。5)米の旨さの指標である遊離糖含量(グルコース,シュクロース,マルトース)では蒸し器よりも全面IHジャー炊飯器の方が多く,それで炊飯した秋田紫糯68号の食味がおいしいと官能検査で評価された理由の1つであると考えられる。
- 2002-03-31
著者
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