<研究紹介>電気生理学的手法を用いた昆虫神経作用物質の探索
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概要
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地球規模での環境問題に関心が高まりつつある現在、病害虫防除のための薬剤に求められているのは、ターゲットに対する強力な効果はもちろんのこと、高い選択性と適度な生分解性である。そのような優れた特性をもつ薬剤のリード化合物となる生理活性物質を自然界から見出そうと、これまでに数多くの試みがなされてきた。その手段となるのが生物試験であり、新たな生物試験の開発が新規の活性化合物の発見につながることもある。そこで著者は、昆虫の神経を作用点とする天然生理活性物質を探索するための新たな生物試験法の開発を試みた。昆虫神経作用物質は、その効果が強力かつ速効性であることが多い点、また、植物や微生物に対し影響を及ぼしにくい点で有効なリード化合物として期待される。さらに、昆虫と哺乳動物とでは代謝に多くの違いがあるため、昆虫には強力な毒性を示しても人畜への毒性は低いことが多い。天然ピレスロイドは、このような昆虫神経作用物質の長所を合わせ持つ、理想的な例であった。自然界には、ピレスロイドと同等、またはそれ以上に優れた防除剤となりうる昆虫神経作用物質が存在するはずである。しかし、昆虫神経作用物質探索のための生物試験法はまだ一般的ではない。神経活動の観察には通常、電気生理学的手法が用いられているが、細かい作業と長い時間を要すものが多く、薬剤の作用機構の解明など、生理学的研究の手段とはなっても、スクリーニングのための生物試験として確立されたものはほどんど知られていない。著者はワモンゴキブリ(Periplanata americana)の後肢神経系を用いて、昆虫神経作用物質探索のための簡便で迅速な生物試験法を開発した。また、この試験を指標としてケニヤ産植物およびインドネシア産植物のメタノール抽出物から、いくつかの活性化合物を単離した。A simple and rapid bioassay was developed to search for novel insect neuroactive substances.This method was based on the electrophysiological response of the metathoracic legnerve of Periplaneta americana.Using this assay,41 methanol extracts of Kenyan plant and 15 methanol extracts of Indonesia plants were tested to show various activities.Several compounds were isolated from these methanol extracts with the guidance of the activity increasing spontaneous-impulse frequencies.
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