無血清培養ブタ卵管上皮細胞における産生タンパク質の探求
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概要
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本研究ではブタ卵管上皮細胞の無血清培養法を検討し,この培養法によってブタの卵管上皮細胞から産生されるタンパク質の解析と培養上清中の高分子画分の細胞増殖活性を探索した. 未成熟のブタの卵管をEDTAとコラーゲナーゼで処理して,上皮細胞を分離した,無血清培地にはDMEM/Ham'sF12の1:1混合液にインスリン,トランスフェリン,亜セレン酸ナトリウム,ヒドロコルチゾン,レチノール,硫酸ストレプトマイシン,およびペニシリンを添加したものを用いた.卵管細胞は培養6日目には単層コンフルーエントの状態に達し,この状態は2週間保持された.また,電子顕微鏡観察の結果,培養細胞には上皮細胞の特徴である徴絨毛とスポットデスモゾームが認められ,上皮細胞と判定された.初代培養卵管上皮細胞の凍結保存を試み,10% DMSOを含む凍結用培地に0.1% メチルセルロースを添加すると融解後に高い生存率が得られた. 培養6日目から8日目まで10-6MのE2を培地に添加すると培養期間は2週間から3週間へと延長された.しかし,培養上清をSDS-電気泳動によって解析した結果,エストロジェン依存タンパクバンドは見いだせなかった. ブタの卵管膨大部と峡部の上皮細胞を別々に培養した結果,E2の添加によってそれぞれの細胞において培養期間の延長が認められた.さらに,膨大部と峡部細胞の培養上清の電気泳動の結果,タンパクバンドの相違がみられた. 卵管膨大部と峡部の上皮細胞から産生される10KDa以上の高分子画分の細胞増殖活性をブタ卵管峡部培養細胞のコロニー形成によって調べた.それぞれの培養上清中の高分子画分を10% 血清加培地に加えて検定培地とした.その結果,培養5日後に対照とした10% 血清区のコロニー形成率は極めて低く(2% ),卵管峡部の産生物質を含む培地で19% ,卵管膨大部画分を含む培地では33% であり膨大部の細胞増殖活性が最も高かった. この研究から,卵管膨大部と峡部細胞から細胞増殖因子が生産・放出されること,ならびに両者の活性に違いのあることが明らかにされた。
- 岡山大学の論文
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