ストレスのメンタルモデル:無気力の発生過程と対処法に関する知識構造
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概要
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本論は,無気力の発生過程について一般人が有する説明理論(メンタルモデル)を調査した。予備調査では大学1年生157名を対象に,自由記述式質問紙を用いてメンタルモデルを収集・分類した。その結果,大学生の有するメンタルモデルの内容は個人差が大きいこと,およびストレスが「たまる」ために無気力が生ずるとする発想が比較的多数を占めることが明らかになった。本調査では,予備調査の結果に基づき,メンタルモデルの内容を測定する尺度を作成した。あわせて,無気力を防止するための様々な対処法を提示し,その有効性を評価するよう求め,最終的にメンタルモデルの内容が評価された対処法と関連することを検証した。大学1年生396名を対象に質問紙調査をおこなった結果,身体的問題により無気力を説明する「身体型」,ストレスが「たまる」から無気力になると説明する「蓄積型」,本人の「感情」「認知」「行動」の問題がバランスよく考慮された説明をする「バランス型」,脳や身体が無意識に自分を守るためと説明する「防衛型」,考えかたが悲観的になるためと説明する「認知型」の5類型にメンタルモデルを分数できた。評価された対処法との関係をみると,「蓄積型」や「防衛型」は気分転換を,「認知型」は楽観的に考えることを,「バランス型」は,これらの対処法にくわえて問題の解決を志向した対処法を,他の群に比べて重視していた。以上の結果から,メンタルモデルが対処法の評価を規定すると考察した。
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