教育実践における主体形成論の再検討
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概要
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本稿は、2002年の後半から活発化した教育基本法の改正をめぐる論議のなかで一つの争点となっている、「平和的な国家及び社会の形成者」を育てる教育実践の在り様について検討したものである。 とりわけ本稿においては、教育実践における主体形成の問題を「抑圧されている子ども」の側から問い直し、そのことを通して、「民主主義の文化」を創造する主体形成論として再定義を試みることで、「平和的な国家及び社会の形成者」を育てる教育実践論を構築しようとした。 この目的を達成するために、まず、教育実践における民主主義の問い直しの動向を整理することで、主体形成の問題が参加民主主義の原理から再考され始めていることを示した(I)。次に、教育基本法改正をめぐるせめぎ合いの内実を検討して今日の学校教育改革の方向性を浮かび上がらせ、それとの対抗的な教育実践の課題として「民主主義の文化」を創造する主体形成の視点を仮説的に提示した(II)。以上の考察と、「抑圧された子ども」の側から構想された教育実践記録の分析を重ね合わせて検討することを通して、「平和的な国家及び社会の形成者」を育てる教育実践を再定義していくための視点として、抑圧された子どもたちのあいだに、差違の承認を可能とする共感的関係を立ち上げ、支配的多数者への異議申し立てを見通していく実践構想の必要性を提起した(III)。
- 大阪樟蔭女子大学の論文
- 2004-03-06
著者
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