言語における概念化 : メトニミーの観点から
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概要
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「言語表現の本来の意味と実際に指し示している意味のすれ違い」現象は,メトニミーと呼ばれている。従来,メトニミー(metonymy)は,メタファー(metaphor)と同じく,言葉の綾(a figure of speech)として修辞的文体における装飾的技法であると考えられ,理論言語学においては周辺的な扱いを受けてきた。しかし,欧米において,1970年前後からレトリックの復権が叫ばれ,Lakoff and Johnson(1980)を始めとする一連の研究により,比喩の研究が盛んになってくると,メタファーやメトニミーというような比喩が,文学に限られる特殊なものではなく,日常の言語活動やその背後にある思考や行動にも浸透し,大きな役割を果たしている概念形成の手段であるということが解ってきた。本稿では,日常の言語使用に見られるメトニミーの機能について考察し,メトニミーの機能と言語における概念化の関係を探ることにより,英文解釈への示唆を考察してみる。
- 2001-03-30