<総説>アジアにおける都市周辺の農地利用に関する諸問題
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概要
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この報告の目的は,アジアの都市周辺で今日しばしば見られる農地利用の諸問題について素描し,将来に向けて解決すべき主な課題を提示することである。先進国であると発展途上国であるとを問わず,都市と農村の関係は都市周辺のいわゆる都市化地域で鋭く現れている。一般には,人々の移住と移動・就業などの形態と,農業生産の役割,土地利用,環境保全の在り方などが問われているし,農業と環境との相互関係,都市化がひき起こす外部経済効果,土地利用計画,土地政策への新しい取り組みなどが重要課題となってきている。都市周辺の農業と緑地は有意義な役割を果たしていることを認識し,土地利用が公益性を重視して,総合性と計画性のある将来構想の基に,実際的な効力をもつ政策・手段ならびに制度として確立されることが望まれる。その場合,民主的な手続きを踏んで合意形成をしていくことが重要になってきている。今後に取り組むべき政策課題として,(a)地域政策で市街地だけでなく緑地・農地を含む広域的土地利用政策と制度の在り方,(b)土地利用政策での社会のニーズの反映の仕方,(c)税制,(d)トラスト,その他の市民農園の管理と運営の方法,(e)民間公益団体の役割,(f)景観保全の在り方の背後にある美観・快適・安全などに関わる社会的な伝統や価値観などの変化について検討され,都市近接地の農業の在り方について明確な理念と政策が画かれることが求められる。
- 1998-03-31
著者
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