<原著>髄膜腫砂粒体の組織学的研究
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概要
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髄膜腫における砂粒体形成機序を解明する目的で, 手術で摘出された髄膜腫71例(男34例, 女37例)を用いて, 砂粒体形成に関与すると考えられているオステオポンティンおよびCD68の抗体の発現部位を免疫組織学的に光学顕微鏡および電子顕微鏡レベルで検討した.光学顕微鏡レベルではオステオポンティンの発現は石灰化過程にある砂粒体および渦巻き状構造に存在する変性過程にある腫瘍細胞やマクロファージにオステオポンティンの発現を認めた.マクロファージを認識する抗CD68抗体を用いた免疫組織標本では, その染色分布はオステオポンティン陽性細胞と一致しており, 抗CD68抗体陽性細胞の少なくとも一部は髄膜腫細胞由来であることが示唆された.電子顕微鏡レベルではオステオポンティン陽性細胞は歯状突起を有し髄膜腫細胞と考えられたが, 中間系フィラメントに乏しく典型的な像は示さなかった.この細胞には基質小胞, 顆粒小体やリボン状印鑑小体が存在し, これらの小器官にオステオポンティンおよびCD68抗原の発現を優位に認めた.砂粒体の石灰化開始因子である基質小胞は, オステオポンティンの発現が亢進したCD68陽性を示す変性過程の腫瘍細胞とマクロファージ由来であると考えられた.これらの細胞に存在する基質小胞やオステオポンテインが分泌あるいは細胞膜の破綻により放出され, 細胞外に石灰化が起こると考えられた.
- 近畿大学の論文
- 2001-12-25
著者
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