<原著>ヒトチオレドキシン/成人T細胞白血病由来因子によるエプスタイン・バールウイルス複製機構の制御
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概要
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ヒトチオレドキシンは内因性レドックス制御因子として, 細胞機能調節に深く関わっている.また, ヒトT細胞白血病ウィルスI型やエプスタイン・バールウィルス等の感染細胞株でその高発現が知られていることから, 感染細胞の異常活性化・不死化にレドックス制御が関与していると考えられている.ウイルスの致死的増殖期と潜伏期とを明確に区別できるEBV感染細胞株を用い, ウイルス複製と感染B細胞の不死化機構におけるレドックス制御の関与について検討した.リコンビナント・ヒトチオレドキシンの培地への添加は, EBV感染細胞株の致死的ウイルス増殖期でのウイルスゲノム複製あるいはウイルス粒子産生を著明に抑制し, 無秩序なウイルス増殖による宿主細胞の増殖抑制を阻害することが観察された.しかし, 潜伏感染でのウイルス複製にはこのような効果は認められなかった.EBVは潜伏期と致死的増殖期とで異なる複製起点を有し, これらの結果はヒトチオレドキシンが致死的複製機構を選択的に制御していることを示唆する.つまり, ヒトチオレドキシンはエプスタイン・バールウイルス感染細胞が潜伏感染からウイルス複製増幅期へと移行する経路を阻害し, ウイルスと宿主細胞の共生成立に重要な役割を果たしていると考えられた.
- 近畿大学の論文
- 1999-06-25
著者
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