<原著>炭末粒子吸入曝露によるマウス肺内heat shock protein 70(HSP70)の発現について
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概要
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近年, 大気汚染物質による慢性閉塞性肺疾患が問題となっている.今回, 急性細胞毒性ならびに抗原性がなく, 生体に異物として働くと考えられる炭末粒子の肺への影響を検索する目的で, 吸入曝露実験を行い形態学的変化とheat shock protein 70(HSP70)の発現について検討した.実験動物はBALB/cマウス6週令を用いた.曝露群は炭末粒子1回5gを1日2回, フィルターを通した清浄空気を送り込んだチェンバー内に補給して, 1日24時間曝露可能とし, 80日間連続曝露を行った.対照群は清浄空気のみを曝露した.0,7,15,30,80日目に動物を麻酔下に解剖し, 形態学的変化とHSP70については免疫染色とwestern blottingを行った.形態学的には炭末粒子による肺の反応は肺胞マクロファージの増加とII型肺胞上皮の増生であり, 好中球, リンパ球などの炎症細胞, 線維芽細胞の反応は見られなかった.HSP70の発現について, 対照群では肺胞マクロファージと気管支上皮に観察され, 成長に伴いHSP70陽性細胞が増加する傾向が見られた.曝露群では対照群と同様HSP70の発現は肺胞マクロファージと気管支上皮にみられ, 対照群と比べて早期に強いHSP70の発現が観察された.HSP70のwestern blottingによる半定量では曝露群は対照群に比べ増加しており, 対照群では成長により, 発現量の増加をみた.以上の結果より, 毒性物でなく単なる異物である炭末粒子曝露によっても, HSP70の発現が増加することが示された.
- 近畿大学の論文
- 1999-06-25
著者
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