<原著>ハムスター心臓線維芽細胞におけるアンジオテンシンII刺激に対するキマーゼとアンジオテンシン変換酵素(ACE)の発現について
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概要
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キマーゼはアンジオテンシン変換酵素(ACE)と同様にアンジオテンシンII(AII)産生酵素であることが明らかになっている.本実験は心臓線維芽細胞におけるキマーゼとACE遺伝子の発現及びAIIに対する発現調節を調べ心臓の間質におけるAIIに対する自己調節機能(auto-regulation)を明らかにするために行った.3週令雄のシリアンハムスターの心臓を摘出しexplant法で心臓線維芽細胞を分離培養した.初代培養から第4継代までの細胞よりacid guanidinium thiocyanate-phenol-chloroform(AGPC)法を用いてtotal RNAを抽出しreverse transcription-polymerase chain reaction(RT-PCR)法でキマーゼとACEmessenger-RNA(m-RNA)の存在を確認した.キマーゼとACEm-RNAは第4継代の心臓線維芽細胞までほぼ同程度の発現が見られた.次に第3-4継代の細胞を用いてAII刺激を行い, competitive RT-PCR法でキマーゼとACEm-RNAの変化を見た.また1型アンジオテンシンII受容体拮抗薬(AT_1受容体拮抗薬)であるCV11974で前処置後AII刺激を行いキマーゼとACE m-RNAの変化を見た.AII刺激及びCV11974の前処置ではキマーゼm-RNAの発現量は変化が見られなかった.ACEm-RNAの発現量はAII刺激により濃度依存性に抑制され, CV11974の前処置により濃度依存性に抑制が改善された.この事よりキマーゼが心臓線維芽細胞で発現していることが明らかになりAII刺激によりACEは発現抑制を受けキマーゼは受けず, キマーゼとACEはAII刺激下のハムスター心臓線維芽細胞において発現調節が異なることが示唆された.
- 近畿大学の論文
- 1999-06-25
著者
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