<原著>ドナー骨髄細胞胸腺内移入時期による免疫寛容誘導能の検討およびキメリズムの経時的変化
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概要
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ドナー骨髄細胞をレシピエントの胸腺内に移入(ITBMC)することにより免疫寛容誘導が可能か否かを, 免疫抑制剤(tacrolimus : FK506)を短期間併用して, 胸腺内移入時期を変え, ラット異所性心移植モデルを用いて検討した。心移植の成績は, 移植と同時に胸腺内移入した群(Day0群)では, 胸腺内移入および免疫抑制剤投与を行わなかった群(対照群)と比較して有意に生着延長効果を認め, 反対に移植3週前に胸腺内移入した群(Day-21群), 移植4週前に胸腺内移入した群(Day-28群)は早期に拒絶された.対照群とDay-21(早期拒絶)群における末梢血リンパ球サブセットの経日的変化を解析したところ, 対照群は移植後7日目にCD8^+CD25^+細胞率のピークを認め, 早期拒絶群では移植後1日目にピークを認めた.即ち, Day-21群では活性化細胞傷害性T細胞により移植心が早期に拒絶されたものと考えられた.ITBMCを心移植の3週あるいは4週前に行うとレシピエントはドナー抗原によって感作され, 臨床応用不可能と考えられた.免疫組織学的検討では, Day0群で100日以上の長期生着を認めたLewisラットの各臓器(リンパ節, 脾臓, 骨髄, 固有心)にドナー抗原陽性細胞の存在が認められ, また, 移植心にはレシピエント抗原陽性細胞が存在してキメリズムの成立が認められ,キメリズムの存在と免疫寛容の成立との関連が示唆された.また, ITBMCの最適時期は, 移植当日であり, 生体・死体(脳死)移植双方において臨床応用可能であると考えられた.
- 近畿大学の論文
- 1997-06-25
著者
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