木材の乾燥応力について(林学部門)
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概要
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本実験は, 本邦産のヒノキおよびブナ材を用いて乾燥ひずみの変移や大きさをslice methodで測定し, あわせて乾燥応力と木材の物理的, 機械的諸性質との関連性を検討したもので, 主な結果は次のとおりである。1)最大引張ひずみと最大圧縮ひずみはほぼ同じ時期にあらわれ, それぞれの大きさは樹種や乾燥条件に関係なくほぼ等しい(Fig. 4,Table 3)。2) setの大きさや変移はFig. 6,Table 5のとおりで, tension setはcompression setよりも, またブナ材のsetはヒノキ材のそれよりも大きい。3)最大乾燥応力と静的強度(木材繊維直角方向)との関係はTable 6のとおりで, 表面層の引張応力は横引張0.5%一応力にほぼ等しいが, 中心層の圧縮応力は横圧縮比例限応力よりも著しく小さいので, set発生の可能性が考えられない。したがつてsetの推定法についてはさらに検討されねばならない。4)木材表面の局部的乾燥, 横引張比例限応力および弾性係数から考察すると, 表面層の最大引張ひずみの発生は表面層のsetないしは塑性の完了状態に対応すると考えられる。
- 1962-09-01