Ornithine Carbamoyltransferase の細胞化学的研究における組織固定の重要性について : 特に Perfusion 固定の検討
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概要
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Ornithine carbamoyltransferase (OCT)作用の細胞化学的研究は我々を以て嚆矢とする(Mizutani, A. : J. Histochem. Cytochem. 15 : 603,1967)。この酵素は肝細胞のミトコンドリア内matrixに特異的に存在することが始めて明らかにされたが, 光学的及び電子顕微鏡的観察に当って, 組織固定の良否がその成績を左右する。すなわち, 小さな組織片を, 通常行われるホルマリン・カルシウム液で一夜固定すると, この酵素作用が殆ど失われる為, 短時間の固定で終了し, 且, 組織構造が充分保持されなければならない。短時間に均一な固定結果を得る為に, 門脈より固定液を灌流し, 最適の条件を求めた。4%ホルムアルデハイド液(0∿4℃に冷却)を約30分灌流することによって, 最良の結果を得た。これによって, OCT反応はミトコンドリアのmatrixに局在し, cristaeは反応陰性であった。一方, 3%グルタルアルデハイド2分灌流では組織の微細構造の保持はホルムアルデハイドよりも遙かに良好であったが, ミトコンドリアの反応は殆ど消失し, これに代って, 核膜及びendoplasmic reticulumに広く反応産物の沈着を認めた。この反応の本態は目下検討中である。ホルムアルデハイドとグルタルアルデハイドとの混合液による灌流では, 短時間で特異的な反応は消失し, 恐らく, 酸性フォスファターゼによると思われるlysosomeの反応のみが認められた。
- 京都大学の論文
- 1968-09-30
著者
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