<原著>Osteotomyを併用した実験的歯牙移動が歯周組織ならびに下顎頭に与える影響
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概要
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この研究は,歯牙移動に対する様々な荷重およびosteotomyの有効性について比較検索した.実験動物には体重約10〜15kgの雄性雑種成犬7頭を用い,事前に矯正装置を作成,下顎両側第4前臼歯の抜歯と同時に右側第3前臼歯遠心部に約2mm,4mmの歯間osteotomyを施し,矯正装置を装着した.この際移動期間は21日間とし,第1後臼歯の近心移動および第3前臼歯の遠心移動には300gと700gの2種類の荷重を加えた.21日目計測後屠殺し,通法に従いホルマリン固定,脱灰,シオジリン包埋を行い顕微鏡標本を作成した.結果として移動距離では,osteotomy 2mmを施し300g荷重を加えたグループを除き,osteotomyした全例において対照群より大きな値を示した.osteotomy量による違いは,300g荷重時にosteotomy 4mmを行った実験群の方がosteotomy 2mmを行った実験群より約2倍歯牙移動したが,700g荷重時には両者間に差が認められなかった.また,ostetomyを施すことにより荷重に関係することなく第1後臼歯の近心移動はほとんど生じなかった.荷重の違いにおいて300g実験群では持続的な荷重力による組織反応が,700g群では一過性の荷重力による組織反応が認められた.これらの結果,荷重の違いとostetomy量とは関連があることを示していた.また,組織学的に300g群osteotomy 2mm施行群では牽引側で骨添加が少なく圧迫側で一層の吸収像を呈し,700g群,300g群osteotomy 4mm施行群では牽引側で著しい骨形成が行われると同時に圧迫側で一旦吸収された後に急速に骨添加された像が認められた.また,700g群ではジグリングが生じた本来牽引側である歯頸部で骨添加,根尖側で骨癒着と相反する組織反応像が観察された.実験歯に隣在する第2前臼歯と第2後臼歯では根分岐部,槽間中隔部の組織所見が実験歯の移動方向に対し,逆方向に骨改造現象が認められた.この原因として犬の槽間中隔はヒトより数倍広く,解剖学的に歯根が複根で,かつ互いに開離していることが考えられた.また,osteotomy部では周囲より内部へ活発な骨芽細胞による骨新生が認められたが,顎関節部においては,対照群,実験群とも肉眼的並びに組織学的変化は認められなかった.以上の結果から移動歯移動側にosteotomyを併用することにより治療期間短縮を望む患者に対しより早く,より大きな移動が可能であることが判明した.
- 2001-06-20
著者
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