<原著論文>政策パッケージによる費用負担軽減と環境目標の達成
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概要
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本研究では,世界で始めて広範な参加者を対象とした温室効果ガス排出取引制度を含む,英国の気候変動政策の政策パッケージを理論的に分析し,日本国内政策への示唆を明らかにすることを目的としている。特に,英国の政策パッケージの中でも,気候変動税と自主協定の組み合わせ,および気候変動税と排出削減奨励金の組み合わせを中心として,それらが組み合わせられる根拠を理論的に分析する。そのことから,これらの組み合わせにより,(1)被規制主体の削減費用負担の軽減と,(2)より厳しい環境目標の達成の2つを同時に達成できることが明らかにされる。ひるがえってわが国のおかれている現状を概観すると,産業部門からの排出量が多いこと,産業界で温室効果ガス排出削減の自主取組みが行われていること,排出削減費用負担が大きいことなど,英国の政策を参考にできる共通点が多い。英国の気候変動政策の問題点にも配慮しながら,政策パッケージとして採択が可能な選択肢について考察する。
- 2003-03-31